団交前の回答書

SocoSocoは団交の再開がきまった18日の翌19日に
理事会にたいして、10月25日付けで提出した
「公開質問状」をあらためて出しました。


回答期限はこちらは25日でおねがいしました。
それは24日に常任常務理事会(23:01訂正)があるので
そこで承認を得られるたたき台を
専務理事がつくると思っていたからです。


しかしそれはかなわず、
回答は結局当日の朝まで引き伸ばされました。
今朝、それを受け取ってきたので掲載しておきます。


長くなりますが団交まえで時間もないので許してください。
ひとついえるのは、
いま目の前で雇い止めになる人間は生きてかなきゃいけないという
働くひとの大前提を使用者が忘れていることです。


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回 答 書


2011年1月19日付で提出されました「公開質問状」について、以下の通り回答します。


<「共通教育の改革」についての質問>に関して

①共通教育の改革方針について

2010年9月の開催の理事会において、学長方針である「教学方針2013」を承認し、理事会はその実現に向けて取り組んで行きます。その中で共通教育の改革は、重要課題として取り扱うこととしており、現在は全学に共通するカリキュラムの改編を2013年度から全面実施することに向けて具体的内容の検討を進めています。 日本語リテラシーも、この共通教育改革の中でその位置付けと今後の展開を決めて行く予定です。導入教育(入学前)は、各学部の入試と直接連関する課題として、また、導入教育(入学後)は各学部のカリキュラムとして改善を図ります。


<「通算契約期間が3年以内であることの弊害の検討」についての質問>に関して

②「教育力」とは何か。創立時の理念との関係はどうか。

団体交渉の中で、経験を積んだ嘱託助手の方々が一定期間の後本学を去って行くことの損失について話し合いました。その方々が積まれた経験を引き続き本学の教育に生かすことができないということが通算契約期間3年以内のデメリットではないか、という論点がありました。
回答書における「教育力」は、話し合いの流れの中では教育の改善を可能にする個々の教員の現場経験のことを指していると理解して用いた言葉です。
「人間を尊重する」理念と「教育力の損失」という表現にご質問のような観点での関係性はありません。


③2010年度の日本語リテラシー教育部門における特任教員の採用と嘱託教員の契約非更改についての見解。

日本語リテラシー教育部門の嘱託教員(講師以上)のうち、ご指摘の2009年度末(正確には2月28日)において、契約に基づいて更改がなされなかった教員は2名です。
もとより嘱託教員と特任教員の職務内容は別のものです。
日本語リテラシー教育を充実して行くため、科目運営に留まらずこのプログラムを全学に拡げるためのアレンジ等も含んだコーディネータとしての職務を担う人材が必要なことから特任教員を採用することを決め、特任教員選考委員会の審査を経て、前述の2名の方を採用しました。
特任教員の採用と嘱託教員の契約非更改は、制度上の関係はありません。


<「嘱託教職員が前を向いて働けるような雇用形態の検討結果」についての質問>に関して

④共通教育センター以外の嘱託教職員についても雇用期間上限の延長を予定しない理由

今後の学生数が見通せないことなどから、雇用を継続して提供できる見通しが持てません。通算契約期間の上限を延長することは、個別の状況により雇継続の期待権を発生させる可能性があります。雇用を維持できない可能性があるのに、雇用の期待権を曖昧なかたちで発生させることは、労使双方にとって望ましいことではありません。
共通教育センターは、設置から日が浅く今後も改編の可能性が大きい部局として特有の事情を抱えています。このことがセンター所属嘱託教員の通算契約期間上限の見直しができない理由の一つです。しかし、それ以外の部局においても、前段のことから、見直しができないと考えており、ご指摘のように「条件をより悪い方にあわせる」ということではありません。


⑤嘱託教職員が担っている業務内容と専任教職員のそれとの相違。

専任教職員には、日常の業務を行いながら、長期にわたる本学の将来を構想し、教育施策と管理運営施策を提言・実行して行く責任があります。
具体的には、理事(学長を含む)、評議員の選挙権を責任を持って行使すること、被選挙権を有していることに基づき選出されればその職務を遂行すること、教授会や教職員合同会議に出席して会議構成員としての義務を果たすこと等は、重要な責任として明文化されています。日常の業務においても、こうした専任教職員としての責任を果たすことを常に念頭において判断すべき立場にあります。
嘱託教職員にはこうした義務はありません。特定の分野(業務内容)において能力を発揮していただき、専任教職員と連携して業務を遂行していただくことを前提として採用し、業務を担っていただいております。従って、選考方法も専任教職員と嘱託教職員は同じではありません。


⑥嘱託教職員の就労における満足度に関する客観的根拠について

アンケート等により、嘱託教職員の満足度調査を行ったことはありません。「嘱託教職員の中には、前向きに働いていただいている方も多数おられる」という主観的事実を述べたものです。嘱託教職員の中には、日々の業務に積極的に取り組まれ、契約最終日まで見事に職務を遂行される方々が沢山おられます。(貴組合の方々がそうではないと申し上げる意図はありません。)
貴組合の主張が、嘱託教職員の意見を代表するものになっていないのではないか、と思われる事例に接することもあります。そうしたことを踏まえた主観を述べています。


⑦「働き甲斐のある」職場環境作りの具体例

「働き甲斐のある職場環境を作る」という課題は、組織における永遠のテーマです。これが実現できたとき、組織も活性化しているはずです。雇用期間を延長するということだけで達成できるような簡単な課題ではありません。
部署内・部署間のコミュニケーションが充分に確保され、それぞれの役割分担を超えた意識の共有化が図れるよう、主として専任教職員が職場環境の整備に責任を果たして行かなければならないと思います。また、逆に役割分担をきちんと意識し、それぞれの役割と責任をきちんと果たすことにより業務が適切に執行され、また相互の信頼が深まるということもあります。「働き甲斐」は、報酬や雇用条件も無関係ではありませんが、むしろそれ以外の就労環境がなおざりにされたときに働き甲斐を失うということがよく起こると思います。
教員組織にあっては、日常の教室運営の中で起こることを次の教育改善につなげて行けるよう、学生を中心に据えた教員間のコミュニケーションがまだまだ不足しているのではないでしょうか。部門・コース・学科・学部を超えた、また嘱託教員・専任教員・非常勤教員を超えた教育の改善に向けたコミュニケーションを増やす努力を専任教員が中心になって行なって行かなければならないと思います。2013年度に向けた教学改革において、こうした改善も併せて推進したいと考えています。


⑧かつての本学における雇用体系に関する法人の見解と貴組合要求の関係

貴組合は、嘱託教職員を専任化することを要求されていないのであれば、かつての本学における雇用体系について述べることは不要でした。
今回の問題を解決するために、当時の状況と多様な雇用形態が混在する現状とを比較する視点を共有することから、解決の糸口が掴めないかとの思いから提示したものです。


⑨通算契約期間上限の維持と授業料の関係

貴組合が「雇用形態の一律化」を要求されているのではなく、現状の嘱託教職員の雇用条件が今後も維持されるとするならば、通算契約期間上限を廃止しても人件費が大幅に上昇することはなく、従って授業料の設定には影響しません。前回の回答を撤回します。
しかし、貴組合の要求事項に留まらず、これを一般化して考えるとき、もし通算契約期間上限の廃止が嘱託教職員の専任化要求に繋がるのであれば、現状の授業料設定と給与体系で大学を維持することはやがて不可能になります。


<「関連する意見」に関連する意見と質問>に関して

⑩「成立した労働条件」について

前回の回答書でも述べたように、労働者が既に成立している労働条件を変更する活動を行うことは当然のことだと認識しています。その認識に立っていることは前回の回答書にも明記しています。その上でなお、貴組合のご意見をお伺いしたく、記載の意見を記述しました。
繰り返しになりますが、助手は1年間の契約であり、その契約を更新することがあっても契約の通算期間は3年間を超えることはありません。このことは、募集の段階から明示し、この条件を理解していただいた上であなた方は応募されました。さらに個別の契約書にもこのことが明記され、あなた方はその契約書に署名捺印をされています。初回の契約書のみならず、1年間の更新ごとに毎回署名捺印されています。契約書は署名者双方を拘束する約束です。こうした事実について、あなた方がどのように理解されているのかがわからないので、是非お尋ねしたいのです。
自らの労働条件の問題に学生たちを巻き込むあなた方のやり方は、教育者としてあるまじき行動です。加えて、あなた方が撤廃を求めている「3年雇い止め制度」なる労働条件が、実はこのように労使双方の合意の下で成立している契約書に基づいているという事実が、学生たちに対してきちんと説明されているのかという点が大変疑問です。もしきちんと説明されていないのであれば、公正なやり方であるとは到底思えません。この点についてもお答えください。


⑪役職手当・委員会手当導入の経緯と導入の理由

専任教職員の給与制度の見直しを行う中で、教職員が担う責任の重さに応じた報酬を支払うことの必要性が確認され、2005年度から委員会手当が導入されました。役職手当は、それ以前から学長、事務局長に支給されていましたが、同様の理由で、この時から支給対象を広げました。
これに先立つ2002年、従来は一律定額支給だった入試手当を入試実施の負担に応じて支給したり、入試出題手当を別途支給したりするように改めました。このように教職員の業務負担に応じた手当制度を作ることは以前から行なってきており、役職手当・委員会手当の支給もこうした考え方の中で実施しています。


以 上