「非正規」を制度化すること
理事長が7月に出してきた回答書のことで、ひとつだけ。
誠意をもって働いていただいている方々のうち、ある特定の方を雇い止めにする相当な合理性について、一般的に説明責任を果たし切ることは難しいでしょう。そこには、公平性の確保の視点が相当程度必要になります。従って、そういったことを実施することを前提に雇用制度を作るべきではありません。こうしたことから、一律に更改回数の上限を設定し、それを明示して雇用契約を結ぶ現在の制度を維持すべきであると考えています。
これって、わかりやすく言いなおすと、
1.嘱託のなかで特定のだれかを首にするためには合理的な判断が必要だが、それはむずかしい*1。
→2.したがって、嘱託内の特定のだれかだけについて首にする、ということを前提にして雇用制度を作ってはいけない。
→3.だったらいっそ嘱託全員を定期的にすげかえることにしますー。
となる。
2がひどい。いっけん、いいような気がするけど、とんでもない。本来的には、「首にする、ということを前提にしてだれかを雇ってはいけない*2」んでしょ。
それに、ちょっと「嘱託」を「専任」にかえたら、3は、「だったらいっそ専任全員を首にはしませんー」ということになる。
どちらにしても、だれかを「首にする」ということは例外なのです。
そういう例外的な事態の発生を危惧して、典型的に誠意を持ってはたらいているひとたちを、「正規」「非正規」という枠に押し込めて、合理性などこれっぽっちも示せないままに、いっぽうにはそこで働きつづける権利があって、他方にはそれがない、というのがマシだとしている。働きつづける権利だけでない、いろいろと働くことに付随する権利まで、制限されている(と回答書でどうどうと謳っていた)。合理的な根拠なくこういう扱いをしていることを、ふつうは差別というのではなかったか。
「正規」が存在しながら「非正規」を制度化するっていうのは差別を制度化することだとおもう。ぜんいんが現在「非正規」と呼ばれているような雇用年限のある就労形態であれば、また話は変わってくるのかもしれないが*3。