団交報告

7月13日の団体交渉では、大学側から「嘱託教職員が前を向いて働けるような雇用形態」について理事会で検討した回答というものが出される予定でした。しかし結論は、現行の雇用形態を変えることはできないというものでした。

前回の団体交渉で雇い止めの制度には経営的にもメリットがないことは、大学側も納得していたはずなので、再度雇い止め制度を設ける理由を質問しました。



●大学側の理屈
①更新年限がないと整理解雇をする際に、解雇対象を決めるのが困難になる。つまり、必要があれば年限を迎えた人を整理解雇に代えて契約不更新にする。

②日本語リテラシー部門を含む共通教育全体の方針が決まっていないので、雇用契約だけを取り上げて検討したり変更したりすることはできない。




①は整理解雇の四要件を逆手にとった屁理屈です。判例上、整理解雇をする場合に経営者は4つの要件を満たさなければなりません。
そのうちの一つに「対象者の人選が合理的かどうか」というものがあります。恣意的な選考はもちろんできませんし、公平な基準でなければなりません。
一緒に働いている人たちのなかから、誰を解雇するかを選ぶのが難しいというのはまっとうな感覚です。

しかし、それを利用して更新年限を設けることはおかしいです。

・そもそも整理解雇は経営が困難な場合、最終手段として行うことです。先の四要件のにも「解雇して人員整理する必要性が本当にあること」と「解雇を回避するためにできる限りの努力をする」というものがあります。初めから経営難に陥ったら、即整理解雇をするつもりでいるのはおかしいです。
・そして、未来の整理解雇を避けられないような経営難に備えて、更新年限付きの雇用を繰り返すことは不合理です。
いつ来るかわからない以上、それがどれくらいの規模で経費の削減を必要とするのかはわかりません。その時に必要な削減目標と、その年に更新年限を迎える労働者にかかる人件費が同じになる保障はあいません。ズレた場合は、結局解雇対象の選考をして整理解雇をしなければなりません。
(そもそも、必要となれば難癖同然の基準や理由を作って解雇をするのが経営者の論理でしょ。その時になって「誰(を解雇したらいい)か決められな〜い」とか言って、解雇をしないの?)
それに更新年限がないと選考が難しいというのは嘘です。なぜなら、やっぱり有期雇用のものから先に職場から引き離されるからです。
すでに大学のなかで正規と非正規の教職員がいる。その差のひとつは優先的に人減らしの対象になることです。

今、大学側の理事が言っていることは非正規や有期雇用の労働者のなかでさらに解雇の選考基準を設ける必要があるという理屈です。この整理解雇するときに誰をすればいいか決められない、という不安は、拡大しつづければ全ての被雇用者に整理券でも配らない限り解消されません。しかし、解雇の優先順位をどこまでも細分化していく過程で、非正規労働者から順位をつけていくことを差別ではないと言えるのでしょうか。