回答書の全文

 ほんとうは理事側の回答書もちゃんと要約と一緒に掲載したかったのですが、全文だけを掲載することにしました。というか、あきらめました。回答書の内容が入り組んでいてわかりにくいんです。というか、私はきちんと説明された気持ちがしなくて、ほんとうに相手の話がわからないのです。

 だれか、この回答書を要約してくれる人がいたら、ぜひおねがいします。
 
 回答書は、2009年12月22日の団交で提出された、SocoSocoがわの要望書に対して、明けて2010年1月26日の団交で渡されました(本当は気になってしかたなくて団交の前に受け取りにいきました)。
 
 この文書ではっきりしているのは「貴組合が要望書に書かれている「日本語リテラシー教育部門の嘱託助手の3年雇い止めの廃止」のご要望には応ずることができません。また、このことから「来年度の日本語リテラシー教育部門嘱託助手の新規募集を行なわないこと」のご要望にも応ずることができません。」という最後のくだりだけで、あとはなにか私の力不足でしょうか、まったく読めません。結論にいたるだけの「根拠がない」ということがひたすら隠されているだけなのかとうたがってしまいます。
 
 4月の団交までには、1月26日の団交のまとめも紹介したいところですが。。。まにあうかなあ。このまとめは必見ですよ、たぶん。
 
京都精華大学嘱託教職員組合SocoSoco
 
(執行委員長のなまえ)
 
2010年1月26日
 
学校法人 京都精華大学
 
(理事長のなまえ)
 
「日本語リテラシー嘱託助手の3年雇い止め廃止を求める要望書」に対する回答


本学における日本語リテラシー教育部門は、2009年12月22日付「要望書」に述べておられるように、人文学部の初年次教育の柱としての重要な役割を担っており、部門で実際の教育に携わっていただいている教員・助手の皆様のご尽力により、高い教育成果を上げていただいているものと認識しております。


日本語リテラシー(以下;日リテと略記)を含む導入教育および初年次教育は、本学のカリキュラムの中でその重要性を今後さらに高めていくものと思われます。人文学部以外の学部においても、様々な形で初年次教育の必要性が高まって行くことでしょう。日リテ教育部門を共通教育センターに設置しているのは、こうした考えに基づくものです。今後も工夫と試行を重ねて大学全体の初年次教育を一層充実して行かなければなりません。


要望書には、日リテ教育部門に専任教員が配置されていないことが指摘されています。教育課程を編成することによって教育の全体像を長期に亘って作り上げて行くことは専任教員の職責の一つです。その専任教員が日本語リテラシー教育部門に配属されていないことから、この部門の運営を懸念されることがあるのかも知れません。しかし、導入教育や 日リテ等の共通教育は大学全体の方針の下で学部教育と連関して運営・改善されるべきものであり、共通教育センター会議をベースにして共通教育センター長がそうした調整を行なう体制となっています。それらを担っていただいている教員はいずれも専任教員です。今後共通教育センターでの教育体制を如何に構築していくべきか、現時点で固定的なビジョンを持つべきではないと思います。前述の通り今後も工夫と試行により本学に最も適した体制を作って行かなければならないからです。また、果たすべき役割、求められる教育成果もどんどん変化して行くことが考えられるからです。しかし、少なくともかつての「一般教育」と「専門教育」のように、カリキュラムだけでなくそれを担う教員組織までも四年間の学部教育を二分するような固定的体制を作ろうとするものでないことは確かです。この点から、共通教育センターを柔軟な組織として充実発展させて行くことを目指すためには、そこに配置すべき教員は嘱託教員や特任教員などの有期雇用契約に基づく教員なのであって、専任教員(学部所属教員の兼務を除く)ではないだろうと考えています。


以上のことは、日リテ部門も含めてのことです。また、これは科目担当責任教員についての考え方ですが、科目担当教員を補助していただいている嘱託助手についても同様であることは言うまでもありません。


また、こうした考え方は本学独自のものですが、こうした考え方を採る背景には国の教育政策や他大学の動きがあることも否定できません。国は、例えば1996年10月の文部科学省の大学審議会(当時)の答申において、「教員の流動性向上と任期制導入の意義」を説き、指針を提示しました。その後、各大学がこの指針に呼応して教員の任期制を定める動きがあり、今日では教員の任期制を採ることが日本の大学の趨勢となっています。本学の任期制助手の考え方がこの答申に完全に符合する制度であるかは別としても、こうした日本の大学全般の動きと無関係でないことは確かです。


有期雇用とするからには、何らかの雇用継続期間の上限が定められなければなりません。本学では嘱託教員就業規則において、嘱託教員のうち教授・准教授・講師は最長5年間、助手は3年間を雇用継続期間の上限と規定しており、各嘱託教員とはこのことを明記した個別雇用契約を締結しています。そして、定めた上限期間はこれが適用される被雇用者に対し公正・平等に適用されなければなりません。


本学は、上記の雇用継続期間上限が妥当であると考えてこの期間を定めているわけですが、その妥当怪の判断根拠には様々な事柄があります。例えば、業務遂行上支障がないか、社会一般的に同様事例をどのように取り扱っているのか、有期契約が実質を持っためにはどれ程の期間が上限であるべきか、学内の雇用制度全般との整合性はあるか、などです。政策は決定機関である理事会構成員の個々の判断に基づく合議で決定されるものであり、そうした妥当性の判断根拠の中に、要望書に記されている葉山副学長の挙げている二つの理由もあるのだと考えます。


先に述べたように、他の大学の動きということも判断要素となります。こうした雇用制度を考える上で、本学のみが全く異なった運営環境(あるいは経営環境)に在る訳ではない以上、他大学の動きから全く解き放たれて自由に政策決定できない状況があることもご理解いただきたいと思います。


これまで述べた通り、本学は現状において日リテ助手の専任化(無期雇用化)を検討すべき状況にはないと判断しています。有期雇用である以上、要望書にご指摘のような「経験を持ったスタッフの流出」という事態は、大学としては予め覚悟しなければならない事項です。これは雇用継続期間上限を延長しても、避けることができません。日リテ助手の入れ替わりの際には、さまざまなご負担を助手の方々にお掛けすると思います。しかし、現行制度は助手相互間のみでの業務の引継ぎを想定している制度ではなく、嘱託講師の方々の協力を想定しているものです。そうしたことから助手は3年、講師は5年と、期間上限を異にしています。その点をご理解いただきたいと思います。


業務引継ぎや授業運営の継続性の問題は、嘱託講師問にも類似した状況があるものと思われます。また併せて、実際の授業運営を通しての経験をこの部門の長期的構想に反映して行く仕組みを構築して行くことも考えなければなりません。この点については、ここでの主題ではないので詳細は述べませんが、大学としては冒頭に述べた通り、日リテの重要性を認識し、その改善をはかりたいと考えています。


以上の通り、貴組合が要望書に書かれている「日本語リテラシー教育部門の嘱託助手の3年雇い止めの廃止」のご要望には応ずることができません。また、このことから「来年度の日本語リテラシー教育部門嘱託助手の新規募集を行なわないこと」のご要望にも応ずることができません。
以上の通り回答します。