WANのサイトが見にくいから??

 フェミニズム系のポータルサイトをつくろうとしている、NPO法人WANでは労働争議が起きています。
 ごく簡単に書くと、WANの理事会は、サイト制作・管理者と事務担当者の2人に退職をすすめていて、ユニオンWANがこれに抗議しています*1


 この問題について、関係者に話を聞いたりしておもったことについて、書いてみます。


 WAN理事会の説明では、WANに入会するひとの数がのびなやんでいて、サイトへのアクセスもあまり増えないし、サイトが見にくいという声もあること「から」、新しく業者をいれてサイトをリニューアルして、会員を増やしたい、とのこと。それで、サイト制作・管理者のEさんの仕事がおおはばにへる「から」、退職をしてほしいそうです。


 ここにはふたつの「から」が出てきましたが、「から」でなにとなにをどうつなげるかはつねにそのひとの考えかたが見えてくるものです。ここに出てくる考えかたは、ちょっとおかしいな、と思います。


 なにがおかしいかというと、考えかたが短絡的なんです。


 ひとつめの「入会者もアクセスも伸びないし見にくいという声もあるから、業者を入れてサイトリニューアル」というのは、他のひとのまねをして見た目をよくしたらまわりが自分を好意的に見てくれるかもしれないという期待とあまり変わらない。でもほんとうに自分に似合う服はなにか、というのをみつけるのは時間がかかるものです。

 ふたつめの「仕事が減るから、退職」は簡単です。仕事が減るなら、配置転換するとか労働条件を話しあってみるとか、ほかにもうしろにつながるものはあります。「退職」にすぐにつなげる必要はないんです。もしはたらくひとを大切にしたいのであれば。


 いまの争議をみていると、塾講師をしていたころの話を思い出します。塾にかよっている本人はがんばっているのに、なかなか成績が上がらないばあいがあって、親が「うちの子の成績が上がらないじゃないか、講師はなにをやっているんだ、他の塾にいく」という気持ちになってしまう。本人がやる気になっているときほど、こういうのはつらい。成績が上がらなくてだれよりも焦るのは本人なのに。


 ―でもあのサイトを作ったのはやっぱりEさんなんだよね。

 と、ユニオンエクスタシーの小川さんはつぶやきました。そう。がんばっているのは働いているひとなんです。

 いままでがんばってきたひとの気持ちを考えないで、一方的に仕事をとりあげる、これは、精華の非正規のひとたちに起きているのもおなじことです。


 経営者は、経営者「だから」コストを優先させるものだ、というけど、じっさいほかの人を雇ったり業者を入れるときにはコストはかかってしまうんです。

 この「だから」もほかのものにつながることができて、経営者「だから」長い目で力のある人材を育てていくとか、サイトが見にくい「から」経営者は会員にたいしても寛容な態度をもとめていくとか、自分がどうありたいか、それがちがうだけでいくつもほかの将来が見えてくるはずなんです。


 経営努力とか理想の経営者像、なんて語られるものではなくて、いまそのひとがやっていることを見れば一目でわかる。

 そんなことがいいたかったわけです。言い訳してないで、早くやっていることを改めてくれたらいいのになあ。

*1:くわしい経過などなどは非営利団体における雇用を考える会(仮)をみてください。ちなみにこのサイトのある記事では、精華の上々手専務理事が交渉相手としてすてきである、といったことが書かれています。たぶんあくまでも相対的なことでだと思います。(2010/03/08追記:遠藤さんによると、さらさらっとサインをしていた部分についてだけ非常にほめている、ということだそうです。交渉相手として、というのはちがいました。訂正します)