気がつくと玄関先のちいさな植木鉢のなかで、琵琶の芽が枯れかけている。つまり一週間というのはそういう長さで、ぼくは食べものをとらないあいだ、水を与えることもすっかり忘れていた。


辞書や、歴史研究のなかでは知っていたけれど、ハンガーストライキということを身をもって味わってみて思うのは、ぎりぎりなまでの見た目に反して、まわりの心配ほどにはなにも磨り減っていないということである。授業でプリントくばったり朗読をしたりも十分できたし、学生に対していつもどおりやさしく接することもできた(同僚のかぎりない応援もあって)。食べものの匂いが漂ってきてもとくにうらやましいということもなかった。


7日間で失った体重は5キロだけれど、それよりもはるかに多いものを、たくさんの応援から受け取った。ツイッター上のフォローから、専任教職員のひとの応援、カンパ、差し入れ、体調を心配して理事会とのあいだを奔走してくれた友だち、アピールをきいていてくれた学生、なにか自分たちにもできないかと話しかけてくれたひと、他の大学からの応援、毎日寒空のしたビラをくばってくれた組合員、そういったひとたちには、感謝してもしきれない。
ありがとう。ぼくひとりではとてもじゃないが、7日間も持たなかった。


一週間たって理事会が何の反応も示さなかったという事実は、がっかりはしても、かといって驚くほどのことでもなかった。雇い止めというのは、つまり野たれ死んでもかまわないということを端的に示す制度であるわけで、はじめからそれでかまわないと思っている経営者が、ハンストのときに限って被雇用者の健康を考慮するポーズをとるとしたら、それはそれで欺瞞的である。
とはいえ、そんななかにあっても、とりあえず、大丈夫か、と声をかけてきた学長がいたということは評価したい(声をかけるのはただなわけだから)。


食欲も戻りつつあるハンスト明け3日目にただ漠然と思うのは、そんなことで1月からも交渉再開と雇い止めの廃止にむけて粘り強く活動を続けます。注目と応援をよろしくお願いします。